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インターセックス

第15章 初恋

 落ち着かない、自分の正体を白石さんに握られた事もそうなのだがゆいの事で頭が一杯だった。
2時間目の授業が終わった休み時間に白石さんがやってきた。
隣席の隆一は、どこかへ行って居ない。
「ねえ、夏音ちゃん。隆一くんと仲よさそうだけど付き合ってるの?」
「えっ、隆一と私が? 付き合ってません」
「あのさー、だったらお願いがあるんだけど」
「何ですか?」
「私、隆一くんの事、前から『いいなー』って思ってたんだけどさ、声かけられなくってさ、話がしたいんだけど間、取り持ってくれない?」
ちょっと、驚いた。「隆一って結構モテるんだ」そう思った。
「いいですけど、どうすればいいですか」
「今日の昼休み理科準備室に呼んできてくれない」
「はい、わかりました。昼休みに理科準備室ですね。連れていきます」
「ありがとう。待ってるわ。お願いね」
そう言って席に戻る白石さん。

 おお、意外な展開。
白石さんが隆一と付き合うなんて考えもしてなかった。
想像してしまった『隆一と白石さんがキスしてるシーン』。
 その時、自分の心に何か得体の知れない喪失感のような気持ちが湧き上がる。
白石さんに大事な物を奪われるような喪失感だった。
隆一くんに対して切ない気持ちが湧いていた。
悲しい、胸が締め付けられる。
どうして? 動揺している自分がいる。
何だ? この気持は、どうしたんだ。まさか私が嫉妬しているのか?
そう言えば最近見る崖の上の夢には、隆一くんが出てくる事を思い出した。
キュンキュンと胸を締め付けるようなこの気持ち。
隆一くんに? 私が恋している? まさか。
自分がわからない。自問自答を繰り返す。
もしかして、これが恋なのか? そうだとしたら初恋だ。
どうしよう、白石さんに連れて行くと言ってしまった。
後悔しても遅い。

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