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逆ハー戦隊シャドウファイブ

第18章 18 ブラックシャドウの正体

ブラックシャドウが訂正しながら語る。

――ランチに行こうとしつこいイサベルに先に行ってくれと促し、黒彦さんはもう少し実験を続けていた。あまり待たせると彼女に悪いと思い研究所を後にすると、車のエンジンをかけた瞬間にドンッっと縦揺れがし、車ごと吹き飛ばされていた。研究所は国境付近に建っており、国外へと飛ばされ、一ヶ月もの間、生死を彷徨っていた。


「隣国に居たのか!」
「そうだ」
「俺たちはせめてお前の欠片だけでも、と思って必死に探してたんだぞ!」
「連絡しろよ! 気が付いたんなら!」
「お前たちは俺の事を探しもせずに帰国したとイサベルが入院していた病院にメールを寄こした」
「!」
「どういうことだ! こっちもイサベルから、とんでもないエネルギー量の実験をしてたから肉体が残るはずはないって言われたんだ」
「何!?」

イサベルさんと言う人のせいで非常に話が混乱している。ホワイトが「なあ、イサベルはお前に個人的に何の話をしてたんだよ」と話題を変える。

「彼女は俺と一緒に自分の国で研究しようと誘ってきていた。わずかなエネルギーで莫大な財産を築くことが出来ると言われたが断った」
「あれ? イサベルは貧しい国の出身じゃなかった?」
「国は確かに貧しいが彼女自身は王族の出身だ」
「うーん。なんだか話がおかしいな」
「俺はイサベルから黒彦と結婚して砂漠を緑化に努めたいって聞いてるぞ」
「え? 彼女、日本に来て教師になりたいんじゃなかったか?」

どんどん話がおかしくなっていく。

「そうだ。黒彦の実験データは、彼女が責任をもって引き受けると言ってたんだ」
「何!? イザベルはお前たちが実験データを持って帰国したと言っていたぞ」
「ところで、イサベルはなんでお前が死んでないって知ってたんだよ」
「彼女は側に居たのか?」
「いや。気が付いたときにそのメールが来たきりだ」

シャドウファイブとブラックシャドウはハッと顔を見合わせる。

「すべての黒幕はイサベルか!」
「なんてことだ!」
「黒彦の実験データが目的だったのか!」
「まさか、爆発も彼女が?」

とにかくメンバーたちの誤解は解け、和解されそうではある。

「俺は、お前たちがもう俺のことなど、どうでもいいんだと思った。帰国しても俺には帰る家がないしな」

黒彦さんのご両親は事故で亡くなっていて彼は天涯孤独の身だった。

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