逆ハー戦隊シャドウファイブ
第21章 21 激闘の末に
ちょうど一時間で接骨院に戻ることができた。黒彦さんのいるベッドに顔を出すと、彼は起きていてベッドのそばの椅子には緑丸さんが座っていた。
「ただいま」
「桃香さん、おかえり」
「……。おかえり」
黒彦さんもぼそっと挨拶をしてくれた。それがなんだかとても嬉しかった。そして私はそっと彼に分厚い本を差し出す。
「これ、は……」
「忘れていたので、取って来ました。大切なものですよね」
「ああ。ありがとう……」
黒い革表紙の分厚い本を、黒彦さんは大事そうに愛しむように撫でる。
「そうか。桃香さんは廃墟に行ってたのか」
「ええ」
「あとでまたじいちゃんが中華粥持ってくるから、一緒に食べるといいよ」
「ありがとうございます」
「じゃ、俺はまた施術してくるよ」
「いってらっしゃい」
緑丸さんが去ると、また黒彦さんと二人きりになる。彼が起きていると思うと少し緊張するが、身体の調子が良さそうなので安堵もする。
何を話すでもなく静かにしていると黒彦さんが口を開いた。
「この本は、父と母の形見なんだ」
「そうなんですか」
「中には二人が大事だと思う言葉や、読んだらいい本などが書かれてる」
「へえー。ジョルジュ・サンドの名言も書いてあるんですね」
「ああ。それは母だ」
ちらりと見えた中身は、確かに印刷されたものではなく手書きでだった。本ではなく日記帳のようなものだろう。
「1人になった時、いつもこれを読んでいた」
彼がご両親を亡くした時の悲しみ、そして仲間を失ったと思った時の悲しみを想像するが、経験のない私には無理だ。それでも彼が命を失ったと思った時の、私の悲しみが相当するのかもしれない。
「でも、もう1人じゃないですよ。またみんなと楽しく仲良くやっていけますよ」
「そうだな」
もう一つ言いたいことがあるけれど、やはり言い出せない。『私も一緒に居ます』心の中でつぶやいた。沈黙を破る様に白亜さんがやってきた。
「ただいま」
「桃香さん、おかえり」
「……。おかえり」
黒彦さんもぼそっと挨拶をしてくれた。それがなんだかとても嬉しかった。そして私はそっと彼に分厚い本を差し出す。
「これ、は……」
「忘れていたので、取って来ました。大切なものですよね」
「ああ。ありがとう……」
黒い革表紙の分厚い本を、黒彦さんは大事そうに愛しむように撫でる。
「そうか。桃香さんは廃墟に行ってたのか」
「ええ」
「あとでまたじいちゃんが中華粥持ってくるから、一緒に食べるといいよ」
「ありがとうございます」
「じゃ、俺はまた施術してくるよ」
「いってらっしゃい」
緑丸さんが去ると、また黒彦さんと二人きりになる。彼が起きていると思うと少し緊張するが、身体の調子が良さそうなので安堵もする。
何を話すでもなく静かにしていると黒彦さんが口を開いた。
「この本は、父と母の形見なんだ」
「そうなんですか」
「中には二人が大事だと思う言葉や、読んだらいい本などが書かれてる」
「へえー。ジョルジュ・サンドの名言も書いてあるんですね」
「ああ。それは母だ」
ちらりと見えた中身は、確かに印刷されたものではなく手書きでだった。本ではなく日記帳のようなものだろう。
「1人になった時、いつもこれを読んでいた」
彼がご両親を亡くした時の悲しみ、そして仲間を失ったと思った時の悲しみを想像するが、経験のない私には無理だ。それでも彼が命を失ったと思った時の、私の悲しみが相当するのかもしれない。
「でも、もう1人じゃないですよ。またみんなと楽しく仲良くやっていけますよ」
「そうだな」
もう一つ言いたいことがあるけれど、やはり言い出せない。『私も一緒に居ます』心の中でつぶやいた。沈黙を破る様に白亜さんがやってきた。