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逆ハー戦隊シャドウファイブ

第23章 23 黒曜書店

そろそろ一週間がたつ。休んだ後どうしようか。私としてはもうこの『黒曜書店』でずっと働けたらいいなあと思っている。黒彦さんさえ良ければ。
お客が引けた頃に、黄雅さんがやってきた。

「こんにちは。どう? 桃ちゃん」
「あ、はい。本が好きなのでいい職場です」
「そっかー。で、来週からどうする? もううちは来てくれないのかな?」

キラキラ輝く笑顔で言われて、思わず行きますと言いたくなってしまうのは、やっぱりだらしないのだろうか。

「えーっと。ちょっと考え中なんです。どのお店も魅力的で。でもあんまりうろうろしてるとやっぱり迷惑かなって」
「ふふっ。桃ちゃんは真面目だからね。気軽に行こうよ」
「ですかね」

気さくだけど品の良い黄雅さんと話していると、まるで社交界にでもいるようなふわふわした気分になってくる。そこへ黒彦さんがやってきた。

「黄雅、きてたのか。何か用か?」
「ん。桃ちゃんを誘いに来たんだけどね」
「そうか」
「それだけ。そうだ明日は商店街休みだから地下でなんかして遊ばないか?」
「うーん。そうだな。身体も動かしたいところだし」
「じゃ、桃ちゃんも良かったらおいで、卓球でもしようよ」
「あ、はい。ありがとうございます」
「じゃあねー」

光を振りまいたように去って行く黄雅さんを見送る私に「黄雅のところにいくのか?」と黒彦さんが聞いてきた。私は自分の希望を彼に告げる。

「あの、ここで店員として雇ってもらえないですか?」
「ここで?」
「はい。だめ、ですか?」
「だめではないが。他の奴らも来て欲しいみたいだしな」

黒彦さんはやっぱり居て欲しいとは思ってくれないのだろうか。

「あの、私はここでは役に立たないでしょうか」
「そんなことはない」

もどかしい沈黙が空気を張り詰めさせる。

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