逆ハー戦隊シャドウファイブ
第6章 6 アンティークショップ・紺碧
好きな人は傾向がちゃんとあるもののようだ。10点ほどあるコップから1つだけ青音さんは手に取り「これぐらいだな」と言う。
「後のだめなんですか? これなんかすっごく古そう」
私はひび割れが目立つ古ぼけたごつごつしたコップを手に取る。青音さんはそれを手に取り解説を始める。
「この湯呑はそこが黒いから古そうに見えるだろうけど、ちょっと匂いを嗅いでごらん」
コップの底を向けられ私はフンフンと匂いを嗅いでみる。
「んー、なんだろなんか習字っぽい匂いがする」
「桃香、なかなか鼻がいい。そっ、ここに墨を塗ってるんだ。古く見せるために」
「へええー! そんなことするんですかあー!」
「価値としては機械生産で、時代も新しいし汚れてるだけだから、これ使うくらいなら新品の湯呑を100円ショップで買った方がましだな」
「はあー」
コップ一つでこんなに感心させられるとは思わなかった。次に皿を見始める。この中にはまともなものはないようだ。
「これはダメですか? テレビで観たことあります。コイマリだっけ」
「絵柄は確かに古伊万里だけどプリントだな」
「これがプリント……」
「しかも粗悪だ。ここを良く見て」
手に取って眺めている皿を取り上げることなく、青音さんは後ろから私の顔の隣に顔を寄せてくる。もう少しで頬が触れそうに近く、私はドキドキし始めた。青音さんは近さなど気にせず皿の端を指さし「ほら、ここ。プリントがズレてるだろう」と耳元で囁くようにいい声で説明してくれる。
「ほ、ほ、ほんとですね」
「ん。ちゃんと良く見ないとな」
「は、はい」
髪で隠れているが私の耳たぶはもう真っ赤になっているはず。手が震えてお皿を落としてしまいそう。
「後のだめなんですか? これなんかすっごく古そう」
私はひび割れが目立つ古ぼけたごつごつしたコップを手に取る。青音さんはそれを手に取り解説を始める。
「この湯呑はそこが黒いから古そうに見えるだろうけど、ちょっと匂いを嗅いでごらん」
コップの底を向けられ私はフンフンと匂いを嗅いでみる。
「んー、なんだろなんか習字っぽい匂いがする」
「桃香、なかなか鼻がいい。そっ、ここに墨を塗ってるんだ。古く見せるために」
「へええー! そんなことするんですかあー!」
「価値としては機械生産で、時代も新しいし汚れてるだけだから、これ使うくらいなら新品の湯呑を100円ショップで買った方がましだな」
「はあー」
コップ一つでこんなに感心させられるとは思わなかった。次に皿を見始める。この中にはまともなものはないようだ。
「これはダメですか? テレビで観たことあります。コイマリだっけ」
「絵柄は確かに古伊万里だけどプリントだな」
「これがプリント……」
「しかも粗悪だ。ここを良く見て」
手に取って眺めている皿を取り上げることなく、青音さんは後ろから私の顔の隣に顔を寄せてくる。もう少しで頬が触れそうに近く、私はドキドキし始めた。青音さんは近さなど気にせず皿の端を指さし「ほら、ここ。プリントがズレてるだろう」と耳元で囁くようにいい声で説明してくれる。
「ほ、ほ、ほんとですね」
「ん。ちゃんと良く見ないとな」
「は、はい」
髪で隠れているが私の耳たぶはもう真っ赤になっているはず。手が震えてお皿を落としてしまいそう。