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女子高生香織の痴漢列車

第3章 囚われの

「ふひっ……」

 抱きついてきた相手は下品な笑みを浮かべると香織の胸に手を伸ばして揉みしだこうとする。
 香織はその甲をピシャリと叩いた。

「いったぁ〜い!」

 涙目になって叩かれた箇所をさするその人物に、振り向いた香織は頬を僅かに染めながら抗議した。

「ちょっともう玲奈、やめてよね。公共の場でしょ!」

 そこに立っていたのは、香織より頭ひとつ小さな女子生徒。目がくりっと大きく童顔で、よく中学生に間違えられるそうだ。ついでに言えば顔だけでなく胸部においても歳相応のつくりとは言いがたい部分がある。いわゆるロリと呼ばれるカテゴリに分類される彼女は、香織の持つ豊かとは言えない膨らみにさえ憧れを抱くらしく、何かにつけて揉もうとしてくるのだった。
 玲奈はニヤリと笑って言った。

「ほほーう、つまりそれは公共の場でなければ好きにしても良いという事ですかなぁ?」

「そんなわけないでしょ! 玲奈のバカ! スケベオヤジ!」

「あはは!」

 無邪気に笑う玲奈を見て、香織は苦笑いした。彼女は香織の無二の親友であり、話していると心が安らぐ。少し下ネタが多いのがたまにキズだが、このバカバカしいやりとりも香織は好きだった。
 しばらく笑った後で、玲奈は微笑んで言った。

「でもさ、良かった。なんか最近のかおりん疲れてそうだったから」

「え? そんな疲れた顔してた?」

「いやいや、ちょっとだけだよ。そんで元気づけてあげようとしたのさっ!」

 ドヤる玲奈に、

「だからって痴漢はやめてよね!」

 香織が頬を膨らませてみせたとき、エンジン音を響かせながらバスがやってきた。

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