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カスミ草の花束

第1章 カスミ草の花束

 結局、ハナがベッドに、僕が床にバスタオルを何枚か敷いて眠ることになった。幼なじみといっても大人の男と女が一つの部屋に……。

「タロ……寝ちゃった?」

 蛍光灯の豆球も消した部屋に、ハナのささやき声が……。艶っぽい声だ。

「ん……」

 寝られる訳などなかった。幼なじみと言っても女の子が横に寝てるのだ。

「……いい? そっちに行っても……」

「……うん。だけど、タオルだよ、下……」
 
「うん、私は大丈夫だから……」

 カサッと布が擦れる音――。

 僕の目は暗さに慣れてきたのか彼女の影が動くのが分かる。使ったボディーソープは同じなのに、ふわっとした甘い香りが近づいた。
 
 僕はその影に背を向けるように寝返りを打った。

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