テキストサイズ

人から見れば地獄。ただ僕は幸せだ。

第4章 和食の道

僕は仕事に打ち込んだ。
理不尽に怒られることや、いじめなど当たり前のこの世界で早く技術を身につけようと必死だった。

妹も家に住むようになって僕は時間に追われる毎日だった。
妹のご飯作り。
朝はもちろん。夜ご飯も朝のうちに用意しとかないといけない。
弁当はいらないっていうが購買やコンビニで買うと高くつくので弁当も作っていた。
作ったものは全部美味しい美味しいと食べてくれる妹を見て僕は料理のすごさがわかった。
料理を通じて人を幸せにできる。とこの時少し感じたのだった。

ただご飯作るだけじゃなく、洗濯、掃除と家事全部やらないといけなかった。
妹が手伝うと言ったが僕は耳を貸さずに頑なに自分でやっていた。
ただ仕事終わりに帰ると家が綺麗になってあったり洗濯物がたたんであったり、妹はちゃんとやっていてくれる。
忙しい毎日だったが僕は妹の存在にすごく助けられていたのだ。
おかえりと言い合える環境がどれだけ幸せで、どれだけ救われるのかこの時僕はあまり分かっていなかったと思う。

妹は自分が言った通りなんでも自分でできた。
手のかからない人間だった。

仕事では休まず、寝ずに仕事をしていたおかげで色々な仕事をやらせてもらえるようになった。
特に営業中は親方の脇で働いていたためすごく勉強になった。
毎日出稼ぎに行ってるためお金もそこそこ稼げていた。
妹を含んだ生活費をひいても海外に行くための貯金はできていた。
ただこの時は海外に行くのは何十年も先のことなんだろうなぁと思い夢のまた夢のように思っていた。

仕事も私生活も順調だった。
でも僕の人生に平穏な日々などない。
僕たち兄妹は親に人生を悩ませられる。
生きてる限り付いて回る。
そう思わせる出来事が起きた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ