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人から見れば地獄。ただ僕は幸せだ。

第5章 ドタバタ劇

妹との同居生活も落ち着き、楽しんでいたそんなある日に一本の電話がきた。
児童相談所からだった。
内容は母親が自殺未遂をし、病院に運ばれたということ。
身内に連絡をとりたいってことで児童相談所を通じて僕の所に電話がきた。
否応なしに戸籍上は母と子。
長男の僕が行くしかないかぁと思い病院に向かった。
母親は手首をカミソリでおもいっきり切った。
神経にまで届いてるから指が動かすことは出来ないと思う。
そう担当医に説明をもらった。
もう目が覚めると思うから待っていてあげて。
あっあと精神科の先生ともこれからの母親のことを話した方がいいから呼んでおくね。
そう言われて僕は母の病室に入っていった。
2回目に捨てられたあの日から母親にあうのは初めてで10年ぶりくらいだった。
顔なんて覚えてないけど寝ている母を見てあぁ僕の母親だ。そう思った。

手首には包帯がまかれている。
病院の雰囲気が嫌いだ。
アルコールの匂い、少し薄暗い院内。
僕はどんどん心が落ちていくのがわかった。
母親を見て心配な気持ちなんてわかなかった。
僕たち兄妹は必死に生にしがみついてるのにこんなにこんなに簡単に命を捨てようとする母親を見て怒りしかわかなかった。
母には母なりの苦労や悩みがあるのは分かる。
でも僕は母を許せない。
たぶんこの先ずっと許すことはできない。
そう感じた。
精神科の先生と話をした。
母親は僕たちを捨てた後男一緒に暮らしていたらしい。
子供を作っては施設に預ける。
そんなことをしていたらしい。
その男にも捨てられ心が弱っていた。
1人で生きて行くために職業訓練校に通っていた。
この時からすでに精神的にやられていた母は精神科に通いながらの生活を送っていた。
母も母で頑張っているからどうか支えてあげてくれないか?
身内のあなたが面倒みてあげないとこの人はもう1人なんだ。
簡単に死を選んでしまうんだ。
一緒の家に住んで支えてあげてほしい。
と精神科の先生に言われた。

言いたいことは沢山ある。
支えてくれるひとがいない?
僕たちは10歳にも満たない時に2回も捨てられたんですよ?
殴られ、蹴られ、酒を飲まされて急アルコール中毒で運ばれたこともある。
そんな人間を10年ぶりに会って支えてほしい?
ふざけるなよ。
色々思ったけど考えがまとまらなかった僕は家に帰って妹と話をします。
時間くださいといった。

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