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人から見れば地獄。ただ僕は幸せだ。

第1章 幼少期

帰省してから2週間以上経つ。
僕はまだ施設に帰れない。
あの事件から大きな出来事は特にない。
母親の気分で殴られ、母親の前に姿を見せたら蹴られる。ただそれだけだ。
気分で殴られるのも1日に数回あるくらいだ。
泣かずにいたらすぐに終わる。
ただ一回だけ、声も出さなかったら余裕があるなと言われ失神するまで殴られたことがある。
あぁ演技しないとダメなんだ。泣いてもダメ。黙ってもダメ。
僕はいつの日か痛みがそんなに感じなくなっていた
そんなにではない。全く感じなくなっていた。
ご飯は与えられなかった。
両親がいない時に冷蔵庫にあるもので作る。
基本は卵かけご飯か納豆ご飯だ。
炒め物ができないというわけではない。
お肉を勝手に食べて蹴られたことがあるからだ。
当然、母親が1日家にいたらご飯はあたらない。
幸いに親が家にいることはすくなかったため困ることはなかった。
何度も逃げ出そうとした僕の心を曲げてきたのは父親だ。
母親がいなかったら父親はすごく優しかった。
温泉にもラーメンにも連れて行ってくれた。
それだけで僕は幸せだったのだ。
これが愛なのだと思った。
そんなことはない。
子供が殴られているのに黙って見てる父親に愛情
などあるわけがない。
僕の勘違いだったのだ。
それでもこの時の僕は父親の存在で生きてた訳でなくてはならない存在だったのだ。
そんな生活が2ヶ月続いたある日、僕の人生でなくてはならない大切な人が生まれる。
そう妹だ。9月26日僕の誕生日の1日前に生まれたのだ。
僕は人前に出れるような顔をしていなかったため、妹が生まれたのを知ったのは家に母親と妹が帰ってきた時だ。
新しい命が家に来たことによって僕は幸せになった。
もちろんそんなことはない。
より一層熾烈を極めることとなる。

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