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ご主人様の仕事の書類はびっちりと外国語で埋め尽くされていた。眠くなるどころか、私には少しも読めない。


「ぇえ、すごい、外国語、、、」
ご主人様が仕事の時は極力話さないようにしてたのにうっかり独り言を漏らしてしまった。


「すごくないよ、外国語できる人なんていっぱいいる」

確かに、私には充分な教養も留学経験などもない。下働きの家柄だから。

「そうですよね、、、。私みたいな者は読めないので、羨ましいです。」


「そう？ひなの方がすごいよ」

ご主人様はコーヒーを飲みながらサラッと一言。
私の方がすごい？私は人より優れた才能も技術もない。今までこのお屋敷の掃除、雑用をしてきただけなのに。


ポカンとした顔でご主人様を見ていると、目があって笑われた。ご主人様が笑った！

「まぁいいや、コーヒーありがとうね」

私はとりあえず笑顔でお辞儀して業務に戻った。


ご主人様は初めて見たときは大きいし、表情もなかったから怖い人だと思ったけど、本当はすごい優しい。こんな私をフォローしてくれる。

何の仕事してるかとか、このお屋敷でどんな立場の人とか、込み入った話は出来てないけどこうしてちょっとずついろんな話できると嬉しいな。