ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第71章 治療という名の天罰
口では確かに「頑張れるか…?」って言った。
だけどその目は「頑張れるな…?」って言ってる。
痛いの嫌だな、怖いもんな。
でも、嘘までついて隠して、放っておいたんだから仕方ない。
早く治療しないと、これ以上はどうなるかわからないんだ。
ひななら頑張れるよな…?
一緒にいるから。
優しさと厳しさが入り混じる五条先生の目。
たった一言でも、五条先生の言わんとすることが全部わかる。
「グスン……グスン…うぅ……」
宇髄「ひなちゃん。ひなちゃんがどうしても嫌なら明日までは待ってもいい。そのかわり朝一で治療になる。今しても明日しても痛いのはかわらないし、10分か20分もあれば終わるんだ。先生はこのまま頑張った方がいいと思うけど、ひなちゃんはどうしたい?」
五条先生も宇髄先生も、そんなこと言われたって、そんなこと全部わかってるけど、YesともNoとも言えない。
「グスン…、グスン…、グスン……」
静かな処置室にわたしのすすり泣く音だけが響く。
すると五条先生が、
「ひな。」
今度は親指で涙を拭うように頬に手を添えて、
"頑張るよな。今からやるよな。"
という目でわたしの目を見つめる。
五条先生のこの目は本当に…
大好きだけど大っ嫌い。
いつものごとく、その目力に負けてコクッと頷いてしまった。