ドSな兄と暮らしています
第4章 見つかったもの
3
結局、クリニックの中では兄ちゃんと顔を合わせることはなかった。
兄ちゃんは、家に帰ってくると同時に、
「しお、ちょっと口開けて」
と、私の口の中の様子をみた。
綺麗に治った歯を見つめて、「俺が助手したかったなぁ」とあながち冗談じゃなさそうな声でそう言った。
私は、兄ちゃんと年が近そうな、綺麗な女の人がたくさんいたことを思い出していた。
クリニックにいた時より、家に帰ってきてからの方が、なんかこうもやもやが募る感じがしてしまう。
電気ケトルが、コポコポと音を立てた。
2人で夕食のカップ麺にお湯を注ぐ。
今日は2人とも帰りが遅かったから、カップ麺のうどん。これは兄ちゃんも私も大好きだ。たまにはそういう日があっていいよねと、お湯をかけるだけの料理だってする。
5分待たずに食べ始めた私に、
「相変わらず硬麺が好きだね」
と笑いかける兄ちゃん。
「うん、これがいいんだよ。私は5分なんて待てない」
と、勢いよくすすってみせる。
「俺も硬めで食べてみようかな」
兄ちゃんも、うどんのフタを剥がし始めた。
しばらく、お互いが麺を啜る音が続く。
なんの気なしに、初めて、聞いてみたいと思ったことがあった。
あの時の、今もある、もやもやが1つ晴れるかもしれないと思って。
「ねーねー、兄ちゃん」
「ん?」
兄ちゃんは、顔を上げて私を見る。
結局、クリニックの中では兄ちゃんと顔を合わせることはなかった。
兄ちゃんは、家に帰ってくると同時に、
「しお、ちょっと口開けて」
と、私の口の中の様子をみた。
綺麗に治った歯を見つめて、「俺が助手したかったなぁ」とあながち冗談じゃなさそうな声でそう言った。
私は、兄ちゃんと年が近そうな、綺麗な女の人がたくさんいたことを思い出していた。
クリニックにいた時より、家に帰ってきてからの方が、なんかこうもやもやが募る感じがしてしまう。
電気ケトルが、コポコポと音を立てた。
2人で夕食のカップ麺にお湯を注ぐ。
今日は2人とも帰りが遅かったから、カップ麺のうどん。これは兄ちゃんも私も大好きだ。たまにはそういう日があっていいよねと、お湯をかけるだけの料理だってする。
5分待たずに食べ始めた私に、
「相変わらず硬麺が好きだね」
と笑いかける兄ちゃん。
「うん、これがいいんだよ。私は5分なんて待てない」
と、勢いよくすすってみせる。
「俺も硬めで食べてみようかな」
兄ちゃんも、うどんのフタを剥がし始めた。
しばらく、お互いが麺を啜る音が続く。
なんの気なしに、初めて、聞いてみたいと思ったことがあった。
あの時の、今もある、もやもやが1つ晴れるかもしれないと思って。
「ねーねー、兄ちゃん」
「ん?」
兄ちゃんは、顔を上げて私を見る。