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ドSな兄と暮らしています

第7章 ふたりのこれから 〜最終章〜

「汐夏。知り合いか?」

私は泣きそうになりながら首をふるふると振る。
兄ちゃんはその様子を見て、すぐに私の手を引いた。
男と距離を取らせる。

男の顔は、気持ちの悪い笑顔から、焦りや怯えといった表情に変わっていた。

「手だそうとしていたなら、警察呼ぶぞ」

兄ちゃんがスマホを持ちながら低い声で言うと、男はすぐによたよたと走って逃げていった。

「に、兄ちゃん……」

「大通り探したけど居なくて焦った、家帰るぞ」

兄ちゃんは、自転車を押しながら私の手を引く。
竦んだ足が、動くようになるまで、時間がかかってしまった。

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