ドSな兄と暮らしています
第7章 ふたりのこれから 〜最終章〜
3
日付が変わってから、布団に入る。
バイトがある日は、いつもそうだ。
兄ちゃんは次の日仕事があると先に寝るけれど、休みだと、私と一緒に起きていることが多い。
明日は休みらしい。
私と同じ時間に布団に入った。
布団に入って、寝返りを打つ。
バイト帰りのことを考えると、眠れなくなっていた。
帰ってきてから抱きしめられた、兄ちゃんの体温が恋しくなった。
枕元の時計が午前1時を過ぎた頃だった。
「汐夏。眠れないんでしょ?」
襖の向こうから兄ちゃんの声がきこえた。
寝返りを打って、襖の方に体を向ける。
衣擦れの音が大きく響いた。
「起きてるな。こっちおいで」
「……行っていいの?」
「うん。おいで」
兄ちゃんにそう言われて、枕を持って、自分の布団を抜け出した。
そっと襖を開けると、兄ちゃんが上体を起こしていた。布団を半分めくって、自分の横をぽんぽんとたたく。
私は開けられた布団に滑り込むと、枕を置いて、横になった。
兄ちゃんは、私が入ったのを確認すると、自分も横になって、布団をゆっくりとかけた。
2人で仰向けになって寝る。
天井の小さな電気と、カーテンの隙間から差し込む月明かりだけの、静かな空間だった。
左側半分に、兄ちゃんの体温を感じる。左側にいる兄ちゃんに意識しすぎて、寝返りを打って、背を向けた。
だけれど兄ちゃんは、私のことを意識せずに、右腕を差し出す。
「ほれ」
私の首の下に腕を渡す。
腕枕に素直に従うと、後ろからそっと抱きしめられた。
私はその体温にすっぽり埋まる。
安心する温度なのに、少し緊張していた。
何となく襖の模様を目で追って、目を閉じる。
昔から、眠れない時は一緒の布団だった。
高校生になってからはめっきりなくなったけれど、この家に来たばかりの時は毎日一緒に寝ていた。
兄ちゃんは、夜になると不安で泣き出す私に困惑しながら、いつも同じ布団で寝てくれた。
「母さんじゃなくて、ごめんな」
何度も言いながら、泣き止むまでそばに居てくれた。
最初こそ、慣れずにずっと泣いていたけれど、次第に兄ちゃんと寝ることに安心を覚えていった。
それは、朝起きた時に、兄ちゃんが隣にいないことが、寂しくなるくらいだった。
日付が変わってから、布団に入る。
バイトがある日は、いつもそうだ。
兄ちゃんは次の日仕事があると先に寝るけれど、休みだと、私と一緒に起きていることが多い。
明日は休みらしい。
私と同じ時間に布団に入った。
布団に入って、寝返りを打つ。
バイト帰りのことを考えると、眠れなくなっていた。
帰ってきてから抱きしめられた、兄ちゃんの体温が恋しくなった。
枕元の時計が午前1時を過ぎた頃だった。
「汐夏。眠れないんでしょ?」
襖の向こうから兄ちゃんの声がきこえた。
寝返りを打って、襖の方に体を向ける。
衣擦れの音が大きく響いた。
「起きてるな。こっちおいで」
「……行っていいの?」
「うん。おいで」
兄ちゃんにそう言われて、枕を持って、自分の布団を抜け出した。
そっと襖を開けると、兄ちゃんが上体を起こしていた。布団を半分めくって、自分の横をぽんぽんとたたく。
私は開けられた布団に滑り込むと、枕を置いて、横になった。
兄ちゃんは、私が入ったのを確認すると、自分も横になって、布団をゆっくりとかけた。
2人で仰向けになって寝る。
天井の小さな電気と、カーテンの隙間から差し込む月明かりだけの、静かな空間だった。
左側半分に、兄ちゃんの体温を感じる。左側にいる兄ちゃんに意識しすぎて、寝返りを打って、背を向けた。
だけれど兄ちゃんは、私のことを意識せずに、右腕を差し出す。
「ほれ」
私の首の下に腕を渡す。
腕枕に素直に従うと、後ろからそっと抱きしめられた。
私はその体温にすっぽり埋まる。
安心する温度なのに、少し緊張していた。
何となく襖の模様を目で追って、目を閉じる。
昔から、眠れない時は一緒の布団だった。
高校生になってからはめっきりなくなったけれど、この家に来たばかりの時は毎日一緒に寝ていた。
兄ちゃんは、夜になると不安で泣き出す私に困惑しながら、いつも同じ布団で寝てくれた。
「母さんじゃなくて、ごめんな」
何度も言いながら、泣き止むまでそばに居てくれた。
最初こそ、慣れずにずっと泣いていたけれど、次第に兄ちゃんと寝ることに安心を覚えていった。
それは、朝起きた時に、兄ちゃんが隣にいないことが、寂しくなるくらいだった。