ドSな兄と暮らしています
第7章 ふたりのこれから 〜最終章〜
「……兄ちゃん」
そう声をかけると、
「うん?」
と眠そうな声が返ってきた。
「……触られるなら、兄ちゃんがいい。兄ちゃんにしか……」
兄ちゃんは、鼻から大きく息を吸って吐き出した。
そうして、空いていた手で、私の頭をゆっくりと2回撫でる。いつも通り、大きくて、温かい手。
「……俺にしか触らせないよ」
小さい子どもをあやすように、あの時と同じ。
私が寝付けるように、体に触れてくれている。
だけれど、私にとっては、少しだけもの足りなかった。
もっと触って欲しい……
もっともっと、触れてほしいんだ。
上手く言えないけれど、体全部、兄ちゃんのものになりたかった。
「もっと……もっと、さ、触って……?」
恥ずかしいから聴こえなくてもいい。
そう思って、消え入りそうな小さな声で、私は言葉を口にしていた。
しかし、静寂に包まれているこの部屋で、届かない言葉はない。
兄ちゃんは、その言葉を聞いた瞬間に、私を抱きしめる力を強くした。今までで1番熱く、強い抱擁だった。
兄ちゃんの気配が変わる。
さっきまで兄ちゃんに感じられていた眠気は、飛んでいるようだった。
「……戻るなら、今のうちだよ。いいの? もう半分以上理性ないけど」
そう言いながら、私の頭を撫でていた左手をそっと布団の中に潜らせ、私の上半身に這わせた。
私の体が、密かに期待をし始めた。
……その手が、私の胸の膨らみを捉える。
「んっ……」
思わぬ刺激に、声が漏れ出た。
体がゆっくりと熱を帯びていく。
それだけで、秘部がじわっと何かを分泌した。
……あぁ、私も理性がなくなってきている。
そう思って、小さく頷いた。
短い吐息を繰り返す。
「……触って……ください……」
恥ずかしさと興奮で、既に息切れをしていた。
はぁ、はぁ、と息を漏らす。
もうめちゃくちゃに触られたとしても、
それは絶対の愛情だ。
「もう止まんないぞ」
兄ちゃんは、私の左耳に熱い唇を落として、そう囁いた。
耳に感じた兄ちゃんの唇と声の生々しさにゾクゾクしながら、秘部が熱を増していくのを感じた。
私は静かに、大人になる決心を迫られていた。