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ドSな兄と暮らしています

第7章 ふたりのこれから 〜最終章〜

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兄ちゃんは、私を仰向けにすると、私の上に跨った。恥ずかしくて、目が合わせられずに襖の方に顔を逸らす。
呼吸が、少し浅くなっていた。

「こっち向いて」

そう言われて、恐る恐る首を正面に向ける。

私いま、どんな顔してるんだろう……
強ばっていないかな。
兄ちゃんとこうなること、怖くないのに、緊張しているから。

兄ちゃんと目を合わせる。微笑みながら、私を見下ろす。

「緊張してるね。でも怖くはしない」

兄ちゃんには何でもお見通しだ。

「大丈夫、力抜いて」

そっと、兄ちゃんの右手が私の髪の毛に触れる。
その優しい仕草に、溶かされてしまいそうになる。

恥ずかしくて目を瞑ると、不意に唇に柔らかいものが触れて、離れた。

それが……兄ちゃんとの初めてのキスだった。

キスって、こんなに、ふわっと優しいものなんだ。
唇を重ねた実感が後からついてきて、体の全体に熱いものが湧き上がって、流れる。

「……柔らかいね」

兄ちゃんがゆっくりと味わうように、2度目のキスを重ねる。
私は気分がふわふわして、熱があるときみたいに頭が回らなくなっていた。

「もっと…」

もっと唇を重ねていたい。
無意識にそう思って、口に出していた。

兄ちゃんはそんな私を一瞬驚いたように見て、意地悪な笑顔を見せる。

「ふーん、煽り方知ってんだね」

「ちがっ……」

恥ずかしくなって、否定しようとする。
その言葉も、吸い取るように兄ちゃんは覆い被さってくる。
私の唇の動きを静止するように、唇を何度も重ねた。

「違わない」

それは回を重ねる毎に激しいものになっていく。
私の唇を咥えるように口づける。
兄ちゃんはキスをしながら吐息を漏らすように言った。

「口開けて」

兄ちゃんとの歯磨きの時によく聞く言葉なのに、
今日は……今日だけは、言葉の質が全然違う。

兄ちゃんの唇の動きが色っぽくて見とれていた。

私はそれに従う。従わざるを得なかった。

小さく開けた唇の隙間から、兄ちゃんの舌が入り込む。
私の舌はいとも簡単に絡めとられた。

唇を重ねる音が、部屋に響く。

静寂の中では、音の何もかもが大きい。

「んんっ…んぁ……は…はぁはぁ」

上手く息ができなくて、少し苦しくなって、声が漏れる。
苦しいのに、凄く幸せな気持ちになってしまう自分がいた。みぞおちの辺りがキュッと締まる。

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