無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

目が覚めると私の腕にはたくさんの管が繋がれていた。

ん？ここはどこ？

そう思って起きあがろうとすると
再び酷い腹痛に襲われた。

「あっ！先生！白戸さん、気がつきました！」

そんな声が聞こえる。
もしかして、病院？

そう思うと白衣を着たイケメンが私の方へ
向かってきた。

「おっ！由奈ちゃん！起きたかい？調子はどう？」

何がなんだか分からないのと、相手が大人の男の人ということで私は怖くなった。

涙が無意識のうちに流れる。

「えっ？由奈ちゃん？どうした？どっか痛い？」

その男の人は心配そうに私の顔を覗き込む。

「うっ、うっ、グスッ、、だれ？」

私が泣きながらそういうと、その男の人は

「ごめん、ごめん！自己紹介がまだだったね！君の主治医になりました、成瀬絋です！」

とニコッと笑った。
そして

「先生、由奈ちゃんと少しお話したいんだけど、
もしかして、由奈ちゃん、男の人怖い？」

と続けた。

なんで分かるんだろ？
今まで、気づいてくれた人はいなかった。

私がコクンと頷くと、
先生はそうかそうかと笑って、

「じゃあ、看護師さん呼ぼう！」


と言って若い看護師さんを呼んできてくれた。


「これなら先生とお話できるかな？」

成瀬先生は短髪でスポーティーな感じなのに
何故か雰囲気はとても柔らかかった。

「あのさ、由奈ちゃんさ、最近、おしっこちゃんと出てた?」

先生、なんで分かるんだろ？
看護師さんに手を握られたまま私は首を横に振る。

「やっぱそっか、そうだよねー！由奈ちゃんさ、膀胱炎ってわかるかな？おしっこだすところが炎症起こしちゃってるの。おしっこいっぱい我慢するとなっちゃうんだ。由奈ちゃんの場合ちょっと酷めだから、それで、今少しお熱もあるんだ！」

先生は真剣な眼差しで私を見つめ説明する。

「そういえば由奈ちゃんが眠っている間にママとお話ししたんだけど、ママ、今日からアメリカなんだって？」

再びコクンと頷く。

「じゃあ、今日は入院かな？お熱もあるし、しっかり治るまで頑張ろう！何かあったら呼んでね？」

成瀬先生はママが女優だってことに触れなかった。
白戸麻華の子供としてでなく、白戸由奈として向き合ってくれた。
なぜか少し嬉しかった。