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不倫研究サークル

第11章 リケジョ

夕方。

僕は、一緒についてくると言う美栞を振り切って、原宿駅で愛莉と待ち合わせていた。

それにしても、美栞の行動の元になっている『参考書』には、どんなことが書かれているのか。今日も『カレシの浮気阻止には最初が肝心』と、一緒についてきて相手の女にくぎを刺すのだと言ってきかなかった。

僕は、最初から核実験はしない、理科の実験はリトマス紙からでしょ、徐々に実験のレベルを上げていきましょう、となだめたのだった。


「森岡君」

想いを巡らせていると、不意に声がかかり、僕はハッとする。

「あ、川本さん」と振り返って、僕は驚いた。

今日は綺麗に化粧をして、冷たい印象の目元も明るく色付けているため、元からの綺麗さが際立っていた。

「また、見つめてる 笑」

愛莉は、可笑しそうに笑うが、僕は彼女の笑顔が好きだ。つい、見とれる時間が長くなる。

「もう~、なに?」

「す、すみません。 今日は雰囲気が違うな……て」

僕は頭をかきながら、照れ笑いした。

「面接があるから、お化粧してきたの。 普段はやらないんだけど……、変じゃない?」

「いえ、とても綺麗です。 見違えちゃいました」

「森岡君って、ホント、お世辞をスラスラと言うよね 笑」

(お世辞じゃなく、本当に綺麗だと思ったんだけどな)

「僕も都会に慣れて、口が上手になったのかもしれません 笑」

「あーー、やっぱり、お世辞なんじゃない」

愛莉は少しむくれて見せるのだが、冷から温の変化が絶妙に可愛く見える。僕は胸がドキドキする思いがした。

「あの、カテマッチの事務所は、ここから歩いて少しの所なんです。 行きましょうか」

僕が向かう方向を指さして歩き始めると、愛莉が腕を絡めてきた。

「せっかくだから、腕組んで行こうよ」

思いがけないサプライズに、僕は頬をフルフルさせながら歩く。

(最近、女の子と仲良くする機会が増えた気がする……、これって)


人生初の、『モテ期』到来か!?




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