不倫研究サークル
第15章 帰省
夏休みに入り、僕は東京に出てから初めて、故郷へと帰っていた。
久しぶりに両親に元気な姿を見せたかったのもあるが、それとは別に、どうしてもやっておきたかったことがあったのだ。
僕は、電車とバスを乗り継ぎ、松江へと来ていた。
僕が中学一年までいた街だ。
駅から少し離れた小さなカフェで、僕は人と待ち合わせをしている。
相手は、地元の新聞社の記者だ。
僕が松江へ来た理由は、土門華子の両親に会うためだった。そのため、出版社への就職が決まっていた岸本の伝手を借りて、地元の新聞社とコンタクトをとった。
今日、土門華子の事件を取材した記者と会う事になっている。
土門華子の両親とコンタクトをとってもらいたいだけだったのだが、記者がどうしても僕と会って話がしたいというので、こうやって待ち合わせしている。
約束の時間通り、相手は現れた。が、一人ではなく女性連れだった。
土門華子の母親か? とも思ったが、年齢は30歳くらいに見えるから、違うだろう。
「待てせてしまって申し訳ありません。 初めまして、鳥島日報の高取宗助《たかとりそうすけ》です」
「こんにちは、僕は森岡圭です、はじめまして、わざわざお時間をとっていただき、ありがとうございます」
「あ、こっちは私の家内で美紗《みさ》です」
「高取美沙です。 すみません、私まで付いてきてしまって」
「あ、いえ、よろしくお願いします」
「さ、森岡君、座ってください」
高取に促され、僕たちは一先ず席に着く。
「びっくりしたよ、本当に雪村さんは君に会えたんだね」
「え?」
突然、小梢の名前が出て、僕は反応してしまう。
「こ……、雪村さんの事をご存知なんですか?」
僕の問いかけに、高取の妻、美沙が答える。
「私の旧姓は山根、松中中学で、土門さん事件の時に担任をしていました」
久しぶりに両親に元気な姿を見せたかったのもあるが、それとは別に、どうしてもやっておきたかったことがあったのだ。
僕は、電車とバスを乗り継ぎ、松江へと来ていた。
僕が中学一年までいた街だ。
駅から少し離れた小さなカフェで、僕は人と待ち合わせをしている。
相手は、地元の新聞社の記者だ。
僕が松江へ来た理由は、土門華子の両親に会うためだった。そのため、出版社への就職が決まっていた岸本の伝手を借りて、地元の新聞社とコンタクトをとった。
今日、土門華子の事件を取材した記者と会う事になっている。
土門華子の両親とコンタクトをとってもらいたいだけだったのだが、記者がどうしても僕と会って話がしたいというので、こうやって待ち合わせしている。
約束の時間通り、相手は現れた。が、一人ではなく女性連れだった。
土門華子の母親か? とも思ったが、年齢は30歳くらいに見えるから、違うだろう。
「待てせてしまって申し訳ありません。 初めまして、鳥島日報の高取宗助《たかとりそうすけ》です」
「こんにちは、僕は森岡圭です、はじめまして、わざわざお時間をとっていただき、ありがとうございます」
「あ、こっちは私の家内で美紗《みさ》です」
「高取美沙です。 すみません、私まで付いてきてしまって」
「あ、いえ、よろしくお願いします」
「さ、森岡君、座ってください」
高取に促され、僕たちは一先ず席に着く。
「びっくりしたよ、本当に雪村さんは君に会えたんだね」
「え?」
突然、小梢の名前が出て、僕は反応してしまう。
「こ……、雪村さんの事をご存知なんですか?」
僕の問いかけに、高取の妻、美沙が答える。
「私の旧姓は山根、松中中学で、土門さん事件の時に担任をしていました」