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となりのにぃに

第17章 バレンタインは誰のもの?

図工の版画の友達の絵、千尋と愛奈とののかの3人を描こうと思っていた。

下絵は今日で終わりで、来週から彫る作業になる。

私は残りわずかの時間で、仕上がった下絵に男の子を1人描き足した。





放課後、みんなが帰って行くなか、1人不機嫌そうに机に突っ伏している中村くん。



「長谷川」


顔も上げずに声をかけられた。



「話あるなら早く言えよ」


「待って、まだ残ってる人いるからさ…」





あと2人、帰れば渡せる。



「人いたらダメなん?」


「うん… ちょっと…」




全員帰った!




「ごめん。お待たせ。 これあげる」




そう言うとやっと顔だけ上げてくれた。



透明な袋に入れたカップケーキ。




「……なにこれ」


「えっと… 一応バレンタイン」



そう言うとまた突っ伏してしまった。




「幼なじみに渡すんじゃねーの?」


「もう朝に渡したよ」


「あのイケメン幼なじみにも渡して、俺にも渡すってなんで?」


「あの… こっち見てくれない? なんで朝から機嫌悪いの?」


「なんでバレンタインにお前の顔見なきゃなんねーんだよ」


「どういう意味?」


「うるせーな! 幼なじみに渡したんならそれでいいだろ! 義理とかいらねーんだよ!」


「中村くん!!」



乱暴にランドセルを掴んで、走って出て行ってしまった。


告白してくれたお礼がしたかったのに…
ありがとうって言ってケーキを渡したかった。

それは私の自己満足だったのかな…

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