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天空のアルカディア

第4章 誓い

「ライ…?なん…で……?」


後ろで悲鳴をあげるマリアだが、ターナは聞こえなかった


腹と鎖骨あたりを貫いた槍はライが両手で掴んでいた為、ターナには届いていない


「なんでじゃない…守るべき時に体を張った…それだけだ」


平静を装ってはいるがライの呼吸は明らかに異常だった


ヒュー、ヒュー


「それにこれぐらいは治せる、心配するな」


バキッ


両手で槍を折って抜く


その瞬間、患部から勢いよく血が吹き出す


「わ、私が治します!」


放心状態のターナを押しのけて片手で胸のペンダントを握り、もう一方をライにかざす


「彼の者の傷を癒せ『ハイエンドキュア』!」


ペンダントが金色に輝く


その光に呼応するかの様にライの右手は薄い緑色に輝きだした


「なっ!?」


その光に驚くライ


「そうか、お前…いや貴女が…」


マリアは塞がっていく患部に集中するあまり彼の言葉に気づきはしなかった


10秒程治療を続けると完全には治っていないが血は止まっていた


「もう大丈夫、後は終わってからだ」


ライは振り返りインプを睨む


インプは両手を上に掲げ、その上には巨大な黒い球体が留まっている


「血は止まってますが、完全に治癒していません。無理に動けば…」


「一瞬で終わらせる」


心配そうなマリアにライは顔だけ向けて安心させるよう微笑む


右手の石を強く握り締めるとまた薄い緑色に輝きだした


『第一解放』


「え?…わっ」


正気にかえったターナは突然吹いた風に目を細める


(屋内で…風?)


マリアも驚くが、それよりも胸のペンダントがまた輝きだした事に疑問を覚える


(発動していないのに…何故?)


ライを見ると、彼は全身が薄く輝き、彼を中心に風が吹いていた








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