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天空のアルカディア

第5章 奪還

ザッザッザッザッ


蒼をメインカラーとした鎧に包まれた幾万もの兵が長蛇の陣形(蛇のように縦長のような並び)で森を進む


神殿からは徒歩小一時間程の距離にまで迫っていた


鎧に槍や剣を携えた歩兵


馬に乗る騎兵


少数だが(少数といっも数百人はいる)ローブに身を包む魔導師


兵糧を積まれた馬車とは違い、豪華な装飾が施された馬車が一台だけ兵に囲まれていた


「もうすぐ…もうすぐ私の望みが叶う」


馬車の中で鎮座している中年くらいの男の顔が醜く歪む


彼の名はランス、この反乱を起こした者だ


「ほ、本当に姉様を…?」


向かいに座る赤い髪の少女がビクビクしながら問いかける


「アリス様、それは決定事項ですよ…その後、貴女は冠をいただき王となるのです。私が補佐いたしますので何も心配は…」


「わ、私はそんな事は望んでいません!」


ランスの言葉を遮り、精一杯強がって震える声を上げた


瞬間、ランスの目が刺すような視線で少女を見ると


「きゃ…」


少女の頬を平手で打つ


少女の体が馬車の壁に当たる程強く


「調子に乗るなよ」


先ほどの形だけの敬語ではなく、冷ややかで怒気を孕んだ言葉


少女は恐怖で体が震える


「お前など、マリアより幼く、扱い易いと考えたから生かしているだけだ…反抗すると言うなら殺しても構わんのだぞ?」


懐に持つ短剣の刃をちらつかせる


頬の痛みと死の恐怖で更に震えあがる少女


何故こんな事になるのか


数日前に父が他界し、その後突然ランスに捕まり脅され、更に姉の命まで危機にある


少女はアリス・キャルロット


アリスは恐怖と絶望に包まれ、彼等の元へと向かっていた









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