天空のアルカディア
第5章 奪還
ライに手を引かれ馬車を出たアリスは驚愕した
馬車の周りだけを掘ったかのような大穴とその周りを取り囲む兵士を見て
囲いを作っている兵達は皆弓を構え、矢の先は自分達に向けられていたからだ
「アリス様を解放しろ!!さもなくば…」
1人の兵が張り裂けんばかりの声をあげる
「ど、どうするんですか…?」
不安げにアリスはライを見る
しかし、ライは不敵な笑みを浮かべ
「さもなくば…どうするんだ?いいのか?今撃てばアリス様にも当たるぞ?」
どっちが悪役か分からない台詞を口にした
言葉に詰まり、黙り込む兵士達
数秒間の静寂が逆に場の者達を緊張させ…
『エアリアル』
ライが呪文を口にした瞬間、風が起こり、それに過剰反応した数人の兵が矢を撃った
矢は少ないが八方から迫っており、アリスは反射的に目を瞑る
暗闇の世界の風がピタリと止んだ
閉じる瞬間までは強風が吹いていたのに
と同時に思う
――矢が…こない?
恐る恐る目を開けると視界は狭かった
ライと自分の周りの空気がブレていて向こう、兵士達の姿が見えない
「大丈夫ですよ」
ライが手を強めに握り、そう告げた
ライの顔を見上げると正面を向いたまま僅かに笑っていた
するとそれまであった自分の体の重さが嘘のように急になくなった
慌てて自分の足元を見るとさっきまで踏みしめていた地面がない
ブレていた周りの景色が緑を多く占めた色から青を多く占めた景色に変わる
ようやく気づいた
自分は飛んでいるのだと…
世界でもほんの一握りの魔導師しか使えない浮遊の魔法
不安げな表情は消え、アリス自然と興奮を覚えていた
馬車の周りだけを掘ったかのような大穴とその周りを取り囲む兵士を見て
囲いを作っている兵達は皆弓を構え、矢の先は自分達に向けられていたからだ
「アリス様を解放しろ!!さもなくば…」
1人の兵が張り裂けんばかりの声をあげる
「ど、どうするんですか…?」
不安げにアリスはライを見る
しかし、ライは不敵な笑みを浮かべ
「さもなくば…どうするんだ?いいのか?今撃てばアリス様にも当たるぞ?」
どっちが悪役か分からない台詞を口にした
言葉に詰まり、黙り込む兵士達
数秒間の静寂が逆に場の者達を緊張させ…
『エアリアル』
ライが呪文を口にした瞬間、風が起こり、それに過剰反応した数人の兵が矢を撃った
矢は少ないが八方から迫っており、アリスは反射的に目を瞑る
暗闇の世界の風がピタリと止んだ
閉じる瞬間までは強風が吹いていたのに
と同時に思う
――矢が…こない?
恐る恐る目を開けると視界は狭かった
ライと自分の周りの空気がブレていて向こう、兵士達の姿が見えない
「大丈夫ですよ」
ライが手を強めに握り、そう告げた
ライの顔を見上げると正面を向いたまま僅かに笑っていた
するとそれまであった自分の体の重さが嘘のように急になくなった
慌てて自分の足元を見るとさっきまで踏みしめていた地面がない
ブレていた周りの景色が緑を多く占めた色から青を多く占めた景色に変わる
ようやく気づいた
自分は飛んでいるのだと…
世界でもほんの一握りの魔導師しか使えない浮遊の魔法
不安げな表情は消え、アリス自然と興奮を覚えていた