天空のアルカディア
第6章 孤独
その夜
昼間からラウス、ハンスに送る書状をやっと書き終え、マリアは机を離れた
今まで正式な書状の文章は文官が考え、マリアは書くだけだったので時間が掛かった
少し夜風に当たろうと思い、宿から出る
今の季節は秋
秋の夜風は少し冷たいが心地良かった
「何をしておられるんですか?」
路地通りの暗闇から不意に声が聞こえ、慌てて身構える
「私ですよ」
路地から出てきたのはライ
輝かんばかりの金髪は月明かりに照らされ、神聖な存在感を放つ
「夜風に当たっていたのです。昼間から書状を書き続けていましたから」
「そうですか…」
それだけ言うとライは黙った
不意にマリアがライを横目で見ると隣に並んで月を見上げていた
その顔はどこか哀しげな表情だった
「あの…ライ…」
「どうかしましたか?」
「私達は街の人達とは違いますから…」
貴方は1人ではありません
と続けるつもりが遮られた
「どうしたんですか急に?」
「少しだけ…曇った表情をしていましたから…」
「…同胞の事を考えていました」
「…故郷の方々ですか?」
「はい…今はもういませんが…」
「…何かあったのですか?」
今度は明らかに曇った表情になるライ
話しづらい事なのだと分かったが知りたかった
好奇心からではない
ただ、彼の事を知りたいだけだった
「7年前、私のせいで皆が死んだのです」
昼間からラウス、ハンスに送る書状をやっと書き終え、マリアは机を離れた
今まで正式な書状の文章は文官が考え、マリアは書くだけだったので時間が掛かった
少し夜風に当たろうと思い、宿から出る
今の季節は秋
秋の夜風は少し冷たいが心地良かった
「何をしておられるんですか?」
路地通りの暗闇から不意に声が聞こえ、慌てて身構える
「私ですよ」
路地から出てきたのはライ
輝かんばかりの金髪は月明かりに照らされ、神聖な存在感を放つ
「夜風に当たっていたのです。昼間から書状を書き続けていましたから」
「そうですか…」
それだけ言うとライは黙った
不意にマリアがライを横目で見ると隣に並んで月を見上げていた
その顔はどこか哀しげな表情だった
「あの…ライ…」
「どうかしましたか?」
「私達は街の人達とは違いますから…」
貴方は1人ではありません
と続けるつもりが遮られた
「どうしたんですか急に?」
「少しだけ…曇った表情をしていましたから…」
「…同胞の事を考えていました」
「…故郷の方々ですか?」
「はい…今はもういませんが…」
「…何かあったのですか?」
今度は明らかに曇った表情になるライ
話しづらい事なのだと分かったが知りたかった
好奇心からではない
ただ、彼の事を知りたいだけだった
「7年前、私のせいで皆が死んだのです」