悪魔と天使とお嬢様
第1章 突然変わる日常
“…ドカッ…”
「…もう誰!前に急に現れるなんて…」
私がブツブツと独り言のように呟いていると、その人は静かに話し始めた。
「…大変失礼致しました。お怪我はございませんか…?」
その声の方に顔を上げると、黒いスーツを着た背の高い二人の男性が立っていた。
その二人は、見たこともないような美しい男性だった。
まさに、眉目秀麗とはこんな人たちのことを言うのだろう。
その二人は、私に向かって微笑みを浮かべると…
「…恵美様ですよね。お待ちしておりました。」
「-------------っはぁ?」
二人は私の両側に立ち、抵抗する私を持ち上げる。
そして、近くに止められていた黒くて大きな車に乗せた。
いや…乗せたというよりは、押し込まれた。この方が正しい説明かもしれない。
“な…なにこれ…新しい手口の誘拐?”
「ギャー!!!助けて!!!」
私が暴れて大騒ぎをしても…二人はクスクスと笑った。
「…お嬢様、そんなに暴れないでください。お怪我しますよ…」
私がいくら暴れても、男性二人に押さえつけられては動けない…
私が暴れているうちに、車は大きなお屋敷に到着した。
車から降りると、品の良い女性が何故か涙を浮かべて立っていた。