悪魔と天使とお嬢様
第1章 突然変わる日常
私はコクリと縦に首を動かした。
何を言われるのか、凄く恐い。
「恵美さん、まずは驚かせてごめんなさいね…急に連れて来られて恐いわよね…」
その女性は静かに頭を下げた。
「恵美さんに来ていただいたのには、理由があるの…」
まずはこれを見てもらいましょうか…
「----っえ?」
その女性は頷きながら、瞳に涙を溢れさせた…
そして、小さな写真立てのようなものを私の前に差し出した…
“…こ…これは…私?…いや違う…でも自分でも間違うほど同じ顔?”
「…驚くかも知れないけど、貴女には双子の姉妹がいるのよ…」
「…っえ、私に姉妹がいるのですか?」
私が驚いていると、その女性は静かに話し始めた。
「この子は、貴女と同じ“めぐみ”という名前なの。でも字が違うのよ。貴女は2文字で“恵美”だけどこの子は1文字で“惠”なの…」
“同じ名前なんだ…いろいろ不思議…頭がパニックになりそう…”
「貴女が生まれた時、まだ御爺様が生きてらしてね、私たちは御爺様に逆らうことが出来なかったの…双子はこの神宮寺家の後継者問題に繋がると言われて、一人を養子に出すことになったの…それが貴女なのよ…ごめんなさい…」
女性が静かに頷いた。
そして涙が頬をポロポロと流れ出した。
「…そ…それって…私の両親は…」
「…あなたの実の母親は、私なの…本当にごめんなさい…」
その女性は、苦しそうな声を上げて泣き出した…
「で…では…育ててくれたのは…本当の両親ではないの?」
「…そう…育ててくれたのは…ここで働いていた女性だったの…」
私はショックから目の前が真っ暗になってしまった…
女性は立ち上がると、私の両手を握り私を見つめる。
その目からは絶え間なく涙が溢れ出している…
そして、私を引き寄せ、力いっぱい抱きしめた…
“------私の---本当の---お母さん-------”