テキストサイズ

零の大臣

第1章 零の帰還

靴を履き替え校門を通り伊達は帰路へとついていた。学校から少し歩いたところで伊達は普段は通らない裏路地へと足を進めた。
普段であればこんな道は自宅へは遠回りになってしまう為絶対に使わないが今日は特別だった。
なぜなら先程から自分の後を付けている人物がおりどうやらその人物は自分への接触の機会を伺っているようだった。
なので伊達は敢えて人の少ない裏路地へと入り接触しやすくしたのだ。
伊達は裏路地をある程度歩いたところで足を止めた。

「お久しぶりですね冴さん」
そう言って伊達は後ろを振り返るとそこには女性用のスーツに見を包んだ片倉冴が立っていた。

「やはり気付いていたか」

「最初っから隠す気無かったでしょ」

「………」

「で、政府の方が俺に一体何のようですか?」

「……誠君、私と一緒に来てもらおう」

「来てもらおうって、何処に?まさかとは思いますが首相官邸じゃあないですよね?」

「……………」
伊達の問い掛けに片倉は答えない、ただ少しだけバツの悪そうな表情をした。
伊達はその表情で質問を肯定と受け取る。

「冗談ですよね冴さん、俺が……」
伊達が言葉を発している途中だがそれを遮るように片倉が言葉を発した。

「誠君、もしも君が嫌ならば断ってもらって構わない、いや断るべきだ。私は君の事情をしっているだからこそ今の君の日常を守るべきだ!!」

「………これはあの男の差し金ですよね」

「…………」
片倉は何も答えなかったが伊達は肯定と受け取る

「なるほどな、だから冴さんが来たってことか………わかった、今更何の用か知りませんがとりあえずあの男に会えば冴さんの面子は保たれるわけですね?」

「まさか、来るのか?」

「他ならぬ冴さんの頼みですからね、まっあの男の事だこうなることを見越して冴さんをよこしたんでしょうけどね」

「誠君、すまない」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ