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零の大臣

第1章 零の帰還

『首相官邸』3年ぶりに訪れた場所。しかし、伊達は特に何も感じることもなくただ無感情に片倉の後ろを歩いていた。
そしてある部屋の前で片倉の足は止まりそのまま扉をノックし扉を開けた。

「失礼します。」
そう言って片倉は部屋の中に入りそれに伊達も続く、"3年ぶりの対面か"部屋に入るさい伊達はそんな事を思っていた。
部屋の中にはこの部屋の主、緋山勝源がご立派な椅子に腰掛けながら待っていた。

「久しぶりだね誠君。3年ぶりかな?」
そう言って笑顔で伊達を迎える緋山だが伊達は相変わらずの無表情である。

「ふっ、相変わらずだな君は。さぁ、遠慮なく掛けてくれ。」
そう言って緋山は来客用のソファーに座るよう促す。しかし伊達はその場に立ったまま動かない。

「別にあんたと長話しをしにきたわけでもない、明日も学校があるんで早く用件を終わらしてほしいんだが?」
伊達がここに来たのは単に片倉の面子を潰さない為であり伊達からしたらもう既に目的は達成しているため直ぐにでも帰りたいというのが本音だった。

「学校か……どうだね誠君、学校は楽しいかね?」

「その質問に答える意味があるのか?」

「もちろんあるとも。私にとってはとても重要な事だ。」

「意味がわからないな、時間の無駄だ帰らせてもらう。」
そう言って伊達は部屋から出ようとドアノブを握る。

「帰る?どこに帰るというのかな?」
緋山からの一言で伊達はドアノブから手を離し再び緋山の方を向く。

「もうここ以外に君の居場所は無いんだよ?」
緋山のこの発言には今まで無表情だった伊達も怪訝な表情をみせた。そしてそれは一緒に話しを聞いていた片倉も同じだった。

「どういう意味だ?」

「言葉通りさ、誠君がここに来た時点で今まで住んでいた君の部屋は契約解除させてもらった。つまり、君の帰る家はもう無いという事さ。」

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