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身代わりの妹が懐妊発覚して、そのまま皇帝の妻になりました

第2章 事の始まり

 妹の琴音は、姉からは、自分より妹がいいと先方から言われたので、泣く泣く諦めたのだから、この縁談を上手くやっ欲しいとお願いされたのだ。
「姉さんを嫌うだなんて、なんていう失礼極まりない殿方なのでしょう! しかし、私は姉さんのように美人でもないし、楽器を奏でる才能もないので、身代わりはすぐにバレるかと思いますよ?」
「大丈夫よ。見た目のよいのは、私は保証するから。楽器を奏でる事はしなくてもよいのではないかしら? 万一の時は私が責任を取るわ。それに、琴音が前から欲しがっているモノを差し上げようと思っているのよ。どうかしら?」
「そこまで言うのならわかりました。姉さんの気持ちを汲んで私がお見合いを成功させてきます」
「ありがとう、琴音。無理強いしてごめんなさい。成功を祈ってる」
 優しい姉を演技してまで、この日を乗り切ろうというのだから、なんとも恐ろしい女である。

 お見合い当日、最初は琴葉が登場してお色直しの段階で妹の琴音と入れ代わるという作戦は、途中で見破られないかとヒヤヒヤしているが、やり遂げるしかない。
 仮に、バレた時はなんと言い訳しようか……時間稼ぎをせねば。
 相手の男も、写真でしか見た事がないので途中で入れ代わっても見分けがつかない可能性はある。
 それを上手く利用するのだ。
「本日は、天気に恵まれてよかったですね」
「そうですね。式が順調に進む事を親としてお互い、見届けましょう」
 こうしてお見合い結婚は、段取りよく進んだ。
 李家の当主も大変機嫌をよくしている。
 琴葉と琴音は、アイコンタクトを取った。
 お色直しの段階で、琴音と入れ代わったのに、衣装を着付ける女性に怪しまれなかったのだ。
 しかも、実の親でさえキッチリと化粧を施してるおかげで、琴葉だと思われている。
 琴葉は、内心、ガッツポーズをしている。
(前半は、きちんと出席したのだから、父もまさか次女と入れ代わっているなんてわからないよね)
 琴音も、琴葉に任せてと目で語った。
 無言で琴葉は頷いた。
 こうしてお見合い結婚は、後半もどうにか相手にバレる事なく速やかに進んだ。

 

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