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身代わりの妹が懐妊発覚して、そのまま皇帝の妻になりました

第3章 我を愚弄するとは……

 とんとん拍子に進んだお見合い結婚。
 李家の主人からも、気に入られた琴音。
 琴音を琴葉だと思い込んでいる秀進は、幾度なくデートに誘い出した。
 デートを何度か重ねたある夜、琴音は秀進にある事を確認したいと言われあとをついて行くと、薄暗い部屋に来てしまった。
「琴葉さん、気持ちが抑えられません。このような真似はしたくないのですが……」
 秀進は、琴音の顎を斜め上に傾けさせると間近でじっと見つめた。
「瞳の色が違いますね。琴葉さんではありませんね?」
 キスの距離で囁く秀進の声のトーンが一段と低くなる。
「酔っておられるのでしょう? お水でも飲まれたらどうですか?」
 琴音は秀進の手を払いのけて、ジリ……と後ずさりをする。
 敷かれた一組の布団の他には備えられた冷蔵庫があるので、冷蔵庫から飲み物をと背を向けた瞬間、背後から強引に身体の向きを正面に向けられたかと思うと、布団の上へ押し倒されてしまった。 
(他人には見分けがつかないと思っていたのに、しらを切り通すのは無理なの?)
「どこで入れ代わった? 我は琴葉さんに惚れてお見合いをしたものだと思っていたのに、これは裏切りではないか! 愚弄するとどうなるか教えてあげよう」
 姉の琴葉と、コトに及ぼうとしていたはずの部屋で、今は完全に身許がバレた琴音を半ば脅すための行為をしようとしている事は、恋愛経験のない琴音だって察しはつく。
「お色直しの段階で、姉が具合悪くなったからと形ばかりでいいからと言うので、せっかくの食事会に穴を空けるのは失礼だと思って、私は姉さんの気持ちを汲んで食事会をやり過ごすつもりでした。その事は申し訳ないと思っております。でも、こういうやり方はよろしくないのではないですか?」
「黙れ! 騙した罰を与えるのだ! 琴葉さんにも騙されたのだから、最後まで成し遂げようとした貴女に、その罰を与えようと仕方ない事だろう!」
 強引に衣服を脱がされて、愛のない愛撫に泣きそうになりながら琴音は耐える事にした。
 シーツを掴み、心の痛みと密なる場所への執拗なる愛撫からくる痛みに、歯を食いしばりひたすら耐える。
(なんで私が……)
 そう思っても時はすでに遅い。

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