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人身供物の村娘

第1章 年に一回の村祭り

湯治場には、香りのよい香油が炊かれていた。
その香りをかぐと、なんだか頭がふんわりとした気分になっていた。
(いい香りだな…何て名前だろう…。)

そう考えていると、裸になった黒狐がやってきた。
「きゃっ!?黒狐様?!」

慌てて体を隠すも時すでに遅く。
菊理の体をからめとられてしまった。
「長い湯あみだったな。」

「え、離して下さ…んむ」
そういう前に、黒狐は菊理の唇を塞いでいた。

「んちゅ…む…///」
舌を絡めてくる黒孤の舌から逃げようとしても、にげることができず息が詰まってしまった。

「ぷぁ…っ///」
酸欠でフラフラに倒れそうな体を黒狐が腰を抱いて支えていた。

「なんだ、口吸いすら初めてだったのか…。」
そういう黒狐は、以外に驚いた顔をしていた。

「だって、はぁ…黒狐様の供物となった私と繋がろうと思う男子はいませんでした。」
何か考えてるような顔をして、黒狐は一言。

「贄、名をなんと申す。」
そう聞いた。

「…贄で結構です。」
そういって目線をふいと黒狐からそらす菊理の目には涙がうっすら溜まっていた。

「我が聞きたいのだ。
名をこたえろ。」
そう言って、自分の方を向かせて目をじっとみた。

「き、菊理と言います。」
その目は、赤くて。
でも、とても真面目な目をしていた。
妖術とかで操られたわけではなかったらしい、
それは、菊理がよく分かっていた。
香の香りに充てられたのか、それとも口吸いの
余韻か。生娘の菊理には分からなかった。

「ならば菊理。
最初の贄としての仕事をやる」
そう言われて、菊理は身がすくんだ…恐らく、ここで性交を行うと言いたいのだろう。

「初めてなのでよく分かりませんが、よろしくお願いします。」
そういう菊理に対して黒狐は

「何馬鹿なことを言っておる。
こんなところでしたら、お前の体が持たん。
背中を流せということだ。
しっぽも綺麗にしろよ?」
そう言って体を洗う布を菊里に渡した。

その場で固まってる菊理を他所に、早くしろと背中を指さした。

(以外にもいい人…?いや、狐か…。)
そう頭の片隅に起きながら背中を流し始めた。


「菊理、お前は好きな人とか、思いを遂げたかった人はおらんかったのか?」

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