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蜘蛛女

第1章 蜘蛛女

 雲荘寺に来て見れば、何の変哲もないただの寺だった。住職に「見学はご自由にどうぞ」と言われた。僕が暗い長い廊下を歩いていたら、何かが足首に絡みついた。天井から、ヒヒヒーという甲高い声が発せられ、僕は金縛りにあったように動けなくなった。片足をすくわれ、ごろんと床に転がった途端、体が宙に浮き、足首に絡みついたヒモで引き上げられ、逆さまになった宙づり状態のまま、天井へ引き上げられた。僕は何ものかに捕獲された。

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