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私淫らに堕ちます

第3章 悶々

放課後になると,職員室でそそくさと帰る支度を始めた。

「栞先生。何かいいことでもあったのかな?」

 席一分も隙もないスーツ姿で,優秀な秘書と言っても通用しそうな高山南が,部活の指導を終えて帰ってきたのか,隣の席に座る。

 吹奏楽の顧問であり,我が校一の美人教師と言われていて,2つ年上の先輩だ。

 吹奏楽部は全国大会でも毎年金賞をとる全国の名門で,そこの指導を一切任され,生徒や学校の信頼も厚い。

 眼鏡が知性をさらに感じさせ,気の強さが,男性には容易に近づかせず,女性や女生徒には憧れを抱かせた。栞には,赴任した当時から何かにつけ面倒を見てくれる,頼りになる先輩である。

「えっ,そうですか?特にそんなことはないんですけど。そんな感じに見えますか?」

「なんとなくね。いつもと雰囲気が違うから。ところで,栞先生から見て相馬春樹はどう映っているのかしら。」

ドキッ
 急に彼の名前が,南先生の口から飛び出て,心臓を凍らせる。突然どうして彼の名前が出たのだろうかと,頭を傾げてしまう。

「どうと言われても・・・。」

「あなたと相馬とは噂になっているわよ。」

 その話は,彼の口から聞いていた。やはりそのことなのかと顔を強張らせ,警戒する。だが,南先生は,馬鹿馬鹿しいって感じで,話を続ける。

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