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「まっ，噂なんて気にする必要もないわよ。どうせ恋愛好きの女子生徒が，面白半分に言っているだけでしょうし・・・。ただ，相馬春樹のことは前から気になっていたの。栞先生から見てどう思う？」

「成績優秀の模範生でしょうか。授業態度も良く，運動神経も抜群と聞いています。何か問題があるようには見えないのですが。」

「確かにそう見えるわね。でも相馬は異質よ。他の生徒とは全く違うわ。」

「違うと言うと・・・。」

「はっきりとは言えないけど，とても普通の１８歳の高校生とは思えないの。なんというか・・・戦場のような異常な環境の中で生き残って帰ってきたみたいな・・・。ってそんなわけないわね。」

南先生は，さすがにこれはありえないと自分で言って自分の考えを否定した。だが，普通ではないというところは，なんとなくだが納得できる。

「それでどうして私に？噂になっているからでしょうか？」

「さっきも言ったけど，そんなの気にもしてないわ。彼が，あなたにだけは何だか接し方が違うのよね。それは，恋愛というのではなくて，う～ん，人間として接してる？みたいな。」

「人間として接してる・・・ですか？」

「適当に言ってるだけだから聞かなかったことにして。ただ，不自然なのよね。彼の両親はすでに他界してって知ってる？」