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「友達を待っていたんです。ですが，どうやらすっぽかされたみたいです。」

「そっ，そうなの。」

　喉がカラカラで，かすれた声しか出ない。変な人と思われていないだろうか。

「新しく来られた先生ですね。僕，相馬春樹って言います。今日からよろしくお願いします。先生は，何の教科の先生ですか？」

　椅子から立ち上がり，優雅に頭を下げた。ただ，礼をされているだけで，何をこんなにドギマギするのか分からない。

「私は今年からこの学校に赴任してきた伊藤栞。担当教科は，化学よ。よろしくね。」

「化学は選択しているので，お世話になりますね。化学はとても好きな教科なので，とても楽しみです。」
そう言って，バックを持ち，私へ向かって歩いてくる。

ｺﾞｸｯ
歩きながら，優しい笑顔で見つめてくる視線に視線が高鳴り，体中が熱くなり，唾を飲み込んだ。目の前に立つ彼は，１８０ｃｍメールの長身で，足が長く，モデルのようなスタイルの良さが際立っている。目を顔まで上げず，目の前の胸に焦点を合わせる。