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私淫らに堕ちます

第6章 デート①

「ふぅーーー。」

髪を乾かし,服を着てベッドの上に座った。

 一人暮らし用の1LDKで,ゆっくり座れるのは,ベッドか机の椅子ぐらいだ。食事や勉強などを除いて,落ち着いた時間には,好んでベッドに座る。

 今日は,これから井坂さんのところへ研究の手伝いだ。井坂さんの名前は,井坂美紀。

 大学の教授で,日本でも最先端の薬学の研究をしている。母さんの大学時代の同級生であり,親友だ。そして,麗華さんの戸籍上の母親でもある。

 麗華さんの両親は,麗華さんが中学生の時,交通事故に巻き込まれ同時に亡くなった。その時まだぼくは,小学生にもなっていなかったが,葬式で一人はかなげに泣いている美少女を忘れることはなかった。

 どういった経緯でそうなったのか知らないが,独身だった井坂さんが,親戚のいなかった麗華さんを養子に迎えたのだ。

 その時から,母子家庭だったぼくの家族と親友の井坂さん家族との付き合いが始まった。

 ぼくの家にきた麗華さんをみてぼくはあまりの美しさに固まってしまった。すぐに葬式の時にみた美少女だと気付いた。恥ずかしくて,思わず母親の後ろに隠れてしまったことを覚えている。

 ぼくにとって麗華さんは初恋であり,憧れだった。成績も優秀で,誰もが振り返るほどの美少女。ぼくが夢中になるのも無理のないことだった。

 いつも一緒にいたくて,なんだかんだ理由をつけては,そばをくっついて離れなかった。

だが,翌年には,母がアメリカの大学に,教授として迎えられることになり,麗華さんと離れ離れになったしまった。

 最年少のしかも名門の大学の教授ということで,当時いろいろな人から賞賛されたが,ぼくにとっては,全然うれしいものではなかった。

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