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私淫らに堕ちます

第7章 デート②

 ふと顔を上げると,木の葉の揺れを誘う風が,美しい黒髪をたなびかせていた。

 美しい髪の一本一本が意思をもつようにふんわりと風に乗っていく。そして,緑溢れる木々の木漏れ日が,少し慌てた,心配そうな顔に当たっている。

 不安そうでいて,何かを訴えるような瞳が,潤いに満ちていて魅入られてしまう。


どうして先生はこんなに麗香さんに似ているんだろう

 憧れ,そして恋い焦がれた彼女の姿が重なる。彼女が死んでもう1年半が経とうとしているのに,その時の彼女がそっくりそのまま目の前にいるという現実に,胸がぎゅっと締め付けられてしまう。

「少し遅れてしまって・・・・。場所が分からなかったものだから。」

 遠慮がちに,伏し目がちに遅れた理由を話す彼女から目が離せない。

 ぼくは,ベンチを立ち,高ぶった感情を必死に抑えながら,彼女を静かに抱き締めた。その瞬間,緊張からかピクッと反応するが,そのままぼくに体を委ねる。

 心臓の鼓動が激しく,体温が一気に上がったのが分かるほどだ。彼女の髪からふんわりと甘いシャンプーの匂いがして,余計ドキマギしてしまう。

 彼女の髪に触れ,そしてゆっくりと彼女の口に自分の口を合わせる。震えるような胸の高鳴りを感じ,まるで中学生に引き戻されたような気にさせられた。

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