テキストサイズ

分け合う体温

第2章 隠れてキス

「理人……」

思わず、理人の手をぎゅっと、握り返してしまった。

その瞬間、グイッと引き寄せられて、フェンス越しに私達はキスをした。

その時、遠くから笑い声が聞こえて、私は理人を突き放した。


「困るよ……こんなところで……」

「何で、困るんだよ。」

私は顔を上げた。

「分かってるでしょう?こんなところでキスしてたなんて、変な噂がたったら。しかも、相手が理人だって、親にでも知られたら……」

「じゃあ、言えよ。親に。」

「言える訳ないでしょう!」


親に、理人とキスしたなんて言ったら、私達どんな扱いされるか。

でも、理人は反対に、泣いていた。


「俺達が、後ろめたい事してるからか?答えろよ!」

「そうよ!こんな事、誰にも言えないわ!」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ