イラクサの棘
第14章 チカヅキタイ
「潤っ、ちょっとこっち来て
俺と並んでみてよ。」
「こう?」
「もっとこっち、そうそうくっついて
どうこんな感じ?
俺らかなりイケメンの2人じゃね?
よし、写真撮るぞ!」
うれしそうにスマホ片手に
ツーショット撮影
触れ合う肩
肩を抱き寄せる指
頬がくっつくくらいの距離に
意識しないようにしてても
すこしづつ体温が上がってくる。
「おーいおまえら用意はまだかぁ?」
「は、はーい、今行きまーす!」
慌てて返事してドアに向かおうとして
ドライヤーのコードに躓きそうになり
翔さんが抱き寄せるように助けてくれた。
「おっと、大丈夫か、あぶねえだろ。」
「あっ、ご、ごめんっ」
触れられると感じる微熱
気のせいだと思い込みながら
扉を開けてくれる翔さんに促されて
2人で階段を降りていった。
※ ※ ※
車で20分くらいの距離。
都会とここだと信号もないから
20分って言ってもかなりの移動に感じた。
森の中を走る道路には
街灯もほとんど無くて、夜中に運転して
走ることになるなら
ちょっとためらってしまうかも。
一軒家に灯る
砂利をならしたガレージに駐車
「ほら、着いたぞ。
今夜はおまえらの為の予約貸し切りだぞ。」
「よーし、食うぞぉ」
「ありがとうございます
もう、翔さんってば!
でも貸し切りなんてそんなのいいのかな?」
手作りガーデン風の庭
枕木でつくられる小径
岡田先輩のおうちとはまた違う
雰囲気がする建物だけど
すごくステキなアプローチで
きっと春先には花が咲き乱れるんだろな。