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イラクサの棘

第16章 アナタニチカヅキタイ



「先生の教授室は惨めな俺にとっては
シェルターみたいなもので、
世間と隔絶された書籍と、書類の空間が
本当に居心地が良くて…ずっと先生に甘えてた。」

「一所懸命にサポートしてくれて
優秀な助手だっていつも言ってたよ。
自慢の助手が居るんだってね。」

「翔さんに?先生が?」

「ああ、名前は言われて無かったけど
厳しい助手だけど、完璧に仕事をこなして
くれるし、スケジュール管理もぜんぶ任せて
安心してられるってさ。」

濡れた瞳のまま微笑んで顔をあげる潤に
思わず、そのまま押し倒して唇を重ねたい
衝動が込み上げくる。
待ち合わせるすべての理性を総動員させて
落ち着かせるように髪を撫でてやる。


「あとね、あと…
翔さんと、旅行はじめてからなんだけど
…あのね、俺も、あの、すこし
変わってきたみたいで…」

「ん?なにが?
どう変わってきたんだ?」


言葉にする事を躊躇うように口を小さく
もごもごさせるから
耳を口元に寄せるようにすると

「あ、あのね身体がね、…ちゃんと、その、
反応するようになってきたんだ。」




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