イラクサの棘
第18章 出発
「俺、またここに来てもいいですか?
お2人とこうして知り合いになれて
いろいろ教えてもらったり、
体験させてもらえて、こんなご馳走まで
してもらえて。
またぜひ翔さんと一緒に来たいです!」
「おう、いつでも来いよ!
潤なら1人でも大歓迎だぞ。」
「俺も、松本くんと一緒に料理して
みたいよ、すごく手際良いんだってね?
ハーブや、薬草の事、
もちろんジビエの美味さについても
いろいろ教えてあげたいな。」
岡田先輩も、長野先輩も
目を細めながら手を差し出してくれる
2人それぞれと握手を交わした。
「ちょっと、俺は?
俺のこと忘れてません?」
寝転がされてた翔さんが
立ち上がりかけたのに、岡田先輩が
ニコニコ顔で寝技をかけようとするから
ドタバタ2人で室内で追いかけてあってる。
「松本くん、またぜひうちの店にも
この牧場にも来てくれよ。
翔のことよろしく頼むね、あいつ
いい奴なんだけど、なんでも1人で
抱え込む癖があるし
俺らにもあんまり甘えようとしないからさ。」
「翔さんには、俺のほうが…
頼りにしてばかりで、世話になりっぱなしだから
俺なんかに頼まれても…」
「そんなことないよ。
松本くんと一緒に居ると
翔がとても嬉しそうだし、すごく楽しそうだよ。」
「そう、なんですか?
俺にばっかり気をつかってもらってて
翔さんには、迷惑かけてばかりで…」
「そりゃ、好きな子の為なら
なんだってチカラになりたいし
その子の喜ぶ笑顔が見たいって
きっと翔なら行動すると思うよ。」