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イラクサの棘

第18章 出発




食堂車でのおもいがけない
出来事にも迅速に対応してくれて
俺の身体にヤケドの痕が残らないようにって
行動してくれた。
急な行き先変更だって、俺が冗談半分で口にしてた
ライラックケーキのことまで
わざわざ長野先輩に頼んでくれてた。


俺の身体に起きた変化のことだって
バカにしたり、笑ったりせずに
リハビリだよって
俺にもっと付け込んでいいって…


自分事はいつだって後回しにして
俺のことを最優先に考えて行動してくれる。


「はい、そうですね。
俺も、翔さんとの…
ひゃ…やっ…あん、痛っ、やめっ…
ヤダ!助けてっ翔さんっ!」


おもいきり撫で回された後で
お尻を掴み上げるように握ってこられるから
びっくりして、翔さんに助けを求めた。


「アハハ、俺を放っておいて
長野くんとイチャイチャ長話してるからだぞ。
にしても、潤はいい尻してるなぁ…」

「ちょっと触んないで!マジでやめろって!」

「おっ、嫉妬か?それとも
いつもみたいにバンビの尻も
すりすり撫でて掴んでやろうか??」


テーブルを挟んだ
ゴリラと小鹿が睨み合いをする対峙場面は
婚約者さんの突然の帰宅によってあっけなく
終わりを告げて
俺達も旅立つ支度をすることにした。

 


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