イラクサの棘
第18章 出発
「もっとゆっくりしていかれたら
いいのに。」
「葵さんが帰って来てくれたおかげで俺、
命拾いできました、
マジでありがとうございます。」
「お留守の間に、お邪魔して
いろいろとご迷惑をおかけしました。」
式はあげずに親しい人だけを集める
ガーデン披露宴を来年の春先に考えてるそうだ。
華奢で小柄で控えめな印象だけど話すと、
しっかり自分の意思を持つ大人の女性だ。
「ぜひ、2人でいらしてね。」
「じゃあ2人にはフラワーボーイ役だな?」
「葵姉さん、ほんとにいいんですか?
考え直すなら今が最後ですよ。」
「ウフフ、翔くん。
大丈夫よ、もうこの周囲の人達からは
美女と野獣カップルだって言われてるのよ。」
「お招き楽しみにしてますね。
どうか、お2人ともお幸せに。
長野さんも、皆さんありがとうございました!」
手を振りながら招待状を送ると言ってくれる。
手土産に持って行けって言われて
長野先輩と岡田先輩から渡された
たくさんの品々を車に積んで
見送る3人の姿が小さく見えなくなるまで
助手席の窓から手を振っていた。