イラクサの棘
第18章 出発
「タクシーも呼ぶのもなかなか
こんな田舎なもんでなぁ
わしが送って行こかと思ったんじゃが
どうも昨日から腰の具合が悪くてね。」
「潤、大丈夫だよな?
いいですよ、途中までに
なるかもしれませんけど、良ければ
お2人を乗せて行ってあげますよ。」
「………う、うん。」
ご主人の提案を快諾する翔さん。
一応俺にも確認してくれたし、
ことわってくれたんだけど……
ほら、きゃいきゎい
騒いでこっちにやって来る。
女子のこういうノリって正直苦手なんだ。
「ホントにすみませーーん
いきなり見ず知らずの方にぃ、
ムリなお願いしちゃってぇー」
「別に、俺らも同じ方面だしかまわないですよ。
あ、途中でルート変更とかするときは
近くまででもいいよね?」
「えぇもう、ぜんぜんっ大丈夫ですぅ
キャァヤダぁー2人とも超イケメン男子じゃん!
めっちゃ緊張しちゃう。」
「あのぉ、よろしくお願いします。
わたしたち、東京の大学の2回生です。」
語尾を上げたり延ばしてみたい
耳障りの悪い口調に返事する気も萎える。
お喋りな方はグラマラスな体型で
胸の膨らみをセクシーに強調させる
セーターの着こなしで
もう1人は、やや控えめで物静かにも
見えるけど、すらっとした細身のスレンダー
腰周りは括れててパンツ姿が印象的。
「潤、これ飲んどけよ。」
「え?あっ、うん…」
岡田先輩からいただいたビタミン剤
手渡された2粒を口に放り込む。