イラクサの棘
第18章 出発
運転する翔さんに
矢継ぎ早の質問攻めの弾丸トーク。
それに俺ら2人の関係まであれこれ
詮索するような内容や質問を
さらりと交わして
逆に質問返しをしたりする。
翔さんってホント話術もスマートなんだから。
目を閉じて翔さんの声だけでいいのに
ききたい声だけを拾える都合の良い鼓膜に
ならないかなんて考えてると
うつらうつら眠りにはいっていた。
しばらくして車が停止する気配は感じてたけど
眼は閉じたまま、眠ってるフリにして
女子どもの喧騒をやり過ごす。
薄目を開けると地元の物産展?
名産品、お土産に露店まである、
どこかの道の駅にでも寄り道したのかな?
平日なのにけっこう賑わっている。
「3人でお茶でもしてるのかな?
また翔さんに胸押し付けたり
べたべた触ったりしてるのかな?」
若い女子からのボディタッチに
鼻の下とか伸ばしちゃってるのかも…
もうっ翔さんのバカっ!!
悶々としたって始まらない
フロントガラスに差し込む陽光が
まぶしくて、帽子を目深にかぶり直して
もう一度ふて寝した。
「…ん、あれ?」
「よ、起きたか。」
「うん、あれ?どうしたの
後ろの2人居ないんだけど?」
「ああ、さっきの道の駅で降りてもらったよ。
他に彼女たちを乗っけてくれる車見つけたし。」
「そっか、そうなんだ。
ごめん、眠り込んじゃってて…」
「もう1人の黒髪の子がコレ
潤に渡してくださいって、うるさくして
ごめんなさいって言ってたぞ。」
「そう…」
手渡された紙袋にはきれいな包装紙で
包まれてるチョコレートが入ってた。