イラクサの棘
第18章 出発
「彼女達が店内で土産を見てる間に、
2人が行く方面に向かう車を見つけて
2人を同乗させてくれるように頼んでたんだよ。」
「でも、そんな勝手なことして…」
「ちょうどそっち方面に向かうカップルが
居たんだ。気持ちよくいいですよって
2人で快諾してくれたしな。」
「そう…なんだ。でも彼女達、怒ってなかった?」
「いーやちっとも。潤の具合が良くないから
今から病院に連れて行くって伝えたら
むしろ謝ってくれたよ。」
「あのね、翔さん…
あのね、残念って、思わなかったの?
2人とも、そこそこのキレイでさ…
グラマーだったし、胸だって押し付けてて
翔さんのこと…
すごく気に入ってた…みたいじゃん」
「そうか?
潤のほうがよっぽど美人でセクシーだぞ。
あんな見知らぬ他人より
潤のほうが大事に決まってる。
今回は潤の為の旅行だぜ?
おまえのことを蔑ろにできる訳ないだろ?」
「…でも、俺…ぜんぜん協調性ないし
さっきだって、自分だけ…
さっさと眠り込んじゃったから…」
「そりゃ体調が良くないからさ
疲れてる時は寝るのが1番だからな。」
ひたいに触れてた右手が俺の頭を
ぽんぽんと優しく撫でて
離れていこうとするから
おもわずその手を掴んでしまった。