イラクサの棘
第22章 どこ
「雅紀だって、あんなに泣き虫のおチビが
こんなイケメンになるんだもんなぁ…」
「もう、智兄っ
またちっちゃい頃の話ししてる。クフフ
ほら、どうぞお酌するよ?」
エプロン姿で手早く山芋を炒めて
ツマミまで用意してくれる。
雅紀の山芋炒めは味が絶品なんだ。
「雅紀、彼女とか恋人とかホントに
いねえのか?おまえこんな料理男子で
イケメンなら、モテるだろ?」
山芋の皿を差し出す雅紀の瞳が
一瞬潤んで見えたのは気のせい?
ことりと置かれた皿を持つ指先が震えてる
ようにも見えた気がした。
でも、すぐに屈託のない笑顔で
ぜんぜんモテませーーん!って
笑い飛ばしながら並々と酒を注いでくれる。
雅紀の手料理に美味い酒
自宅呑みって安心感もあり
かなりのピッチで飲み進めていった。
「ましゃきぃー呑んでねぇーーらろぅー」
呂律が回らなくなるほどでもないけれど、
いい加減にしておかなきゃ…
また記憶がなくなっちまうなんて駄目だよな
美也子にも、雅紀にも呆れられちまう…
あの時だって
美也子と2人で呑んでてひどく酔ってしまった
俺らは意気投合してしまって
美也子のベッドで一夜を過ごして
美也子は晶を妊娠してしまったんだ。