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イラクサの棘

第25章 踏み出す一歩



「それって好みがないってこと?
誰でもいいの?」

「ハハ、ちげえよ!
自慢じゃないけど、自分から告白した
ことはないかな、大抵向こうから
告白されて付き合いが始まってたし。
正直、のめり込む程
誰かを好きになることなんて無かったかも。」

髪を撫でる指先で
こめかみ付近を撫でてやると
くすぐったそうに目を細くして微笑む。


「だったら、どうして
昨日、女の子たちを乗せてあげたの?
俺、てっきり翔さんの好みのタイプ
なのかなぁって思ったりしてた。」

まるで猫みたいだ。
撫でられて喜んでると思ってたら
ツンと拗ねてどこかへ行ったり
甘えるように擦り寄ったかと
思ったら、爪で引っ掻いてきたり
まあ、潤の爪でなら
引っ掻っかかれてもいいかな。


ふくらむ頬にフレンチなキスをして
から理由を話していく。





年期の入ってる喫茶店の扉を開いて
カウンターに目をやると
そこには、岡田先輩の牧場の
バター、チーズ製品のパンフが
置かれて
葵さんのお手製のポプリが
お土産として置かれていた。

距離は離れていても、同じ
道路沿いにあるのだ、お互いの店や
牧場に
行ったり来たりのやり取りが
あるのが分かった。

「おそらくあの主人はゴリラ先輩とは
知り合いで、婚約者の葵さんと
あの店を来たことがあると思ってね。」

「それが、どうしたの?」


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