イラクサの棘
第26章 トメラレナイ
…んん…しょ……さ…ぁん…
名前を呼ぶ声がかすれ気味で
また熱が出たのかと、そっと潤の額に手を
のばして触れてみた。
良かった、熱は出てないみたいだな
波打つシーツの狭間
抱き寄せる潤のぬくもり
腕の中で微睡みから目覚める
ぼんやりと焦点が合うと微かな笑みを
ほころばせる。
はよ…翔さん…
おはよ、潤。
すこし唇が荒れてるな
うん、熱出た後は
けっこうカサカサになったりするんだ
お、そうだ
それって岡田先輩に頂いた?
そう、牧場で生産してるハニークリーム
リップ代わりとか、手荒れや、
全身どこにでも使えるクリームだって
自然由来の優しい成分らしい
へえ、手作りってすごいね
ほら唇に塗ってやるから
あっ、うん
あまい…なんか甘くて美味しいから
すぐに舐めてなくなっちゃいそう
どれどれ
んんっ…んぁ…ぁぁんふ…
ホントだ、
すげえあまいな
潤の唇がよりあまくなったな
もうキスしたらクリームとれちゃってるし
翔さんのバカッ
じゃあまた、塗ってやるから
こっち向けって
今度はキスしないでよ
俺のキスはいやか?
そうじゃなくて
もう、じゃあ塗るまえにしてよ
それは名案だな、潤、好きだよ
うん、俺も翔さんが好き
バカップル並みのあまい寝起きのやりとり
何度も離れては触れて
触れ合っては離れて
心地良いリズムと水音の繰り返しを
響かせながら潤とのあまいキスをしてた。